断層撮影応用のフラップレスサージェリーにおける理論的な特注サージガイドと固定性補綴物、上顎の無歯顎に対する即時荷重について:予知性総合研究所 (Clinical Implant Dentistry and Related Research 2005/Volume7/Supplement1/s111~s130)
Daniel van Steenbergh, Roland Glauser, Matts Andersson, Fillip Schutyser, Andreas Pettersson, Inger Wendelhag                       

 
要約:
背景:断層撮影データから3次元解析要素を基にしたインプラント治療計画を行い、特注サージガイドと最終補綴物が精度の高い移動で口腔内に確実に適合するようにデザインされた。そしてそれらは埋入されたインプラントにしっかりと固定された。
目的:この研究の目的の一つは断層撮影像からインプラント治療計画をたててその概念を証明することである。もう一つは予知性総合研究における概念の普遍性を検証することである。
実験材料と方法:被検者は27人の上顎の無歯顎の患者であった。テースインアンアワーの概念(Nobel Biocare AB, Göteborg, Sweden)に基づいて治療が行われた。断層撮影を応用してフラップレスインプラント用のサージガイドと事前製作の上部構造物を製作した。
結果:すべての患者はインプラント埋入後ただちに最終補綴物を装着した。すなわち外科処置と補綴物の装着は約1時間で行われた。24人の患者は1年間の追試に応じすべての補綴物とインプラントは安定していた。
結論:3次元解析要素から作られた事前製作物すなわちフラップレスサージェリー用のサージガイド、即時荷重用の補綴物は信頼性のあるものである。そしてこの方法は部分欠損や待時インプラントにも使用できることが証明された。
KEY WORDS: Brönemark System, dental implants, drilling templates, guided surgery, prospective clinical study, TiUnite™  
骨結合型インプラントが非荷重の治癒期間をおく以前のオッセオインテグレーション1のプロトコルが長い間支持されてきたが、適切なる形態のインプラントや適切なる表面性状のインプラントを使用することによって2インプラントの即時/早期荷重が可能になった。即時荷重とは2^3日以内に全体的咬合力を付与することで、早期荷重とは1^2週以内の3付与であることを提唱したい。さらに2週間以後の荷重に対しては新語であるが待時荷重と呼びたい。この分類(命名)は生体力学と組織学の違いに関連している。4正しく分析された臨床研究が多数報告されているが無歯顎の症例に即時荷重したインプラントの無難な生存率を発表しているいくつかの裏付けの無い症例報告もある。5~6強固に埋入されたインプラントの生存率は数ヶ月に6荷重を架けたインプラントのそれと似ていると述べている研究者もいる。良好な初期固定のための生体力学の性質を報告している研究もある。このように咬合力を分散させて即時に荷重を架けることは良好な結果を生む。この研究ではインプラントの埋入と同時に固定性最終補綴物を装着した。断層撮影データ10から3次元解析要素を基にしたインプラント治療計画を行い、特注サージガイドと最終補綴物が精度の高い移動で口腔内に確実に適合するようにデザインされた。そしてそれらは埋入されたインプラントにしっかりと固定された。3 最初の報告はフラップを形成し、骨に直接サージガイドテンプレートを装着して行った8人の患者のものであった。良好な結果を得たが歯肉に直接テンプレートを装着して行うフラップレスインプラントと同じ概念であった。前回の研究はこの研究と同じアプローチであったが短期間であった。11この研究の目的の一つは断層撮影像からインプラント治療計画をたててその概念を証明することである。もう一つは予知性総合研究における概念の普遍性を検証することであった。
実験材料と方法
研究所と患者
この予知性のある研究に27人の患者を対象とした。この研究は3カ所で行われ2カ所の大学を含むBlegium、Sweden、Switzerlandであった。この研究が始まる前から後者の2カ所の研究所ではそれぞれ一人の患者からスタートした。目的はこの概念を世間に広めることである。
患者の年齢は34から89才で平均63才であった。喫煙者は5人でその内3人は1日に−10本を吸っていた。他の22人は非喫煙者であった。 ほとんどの患者は5年以上も無歯顎の状態で、5人は1年から5年、7人は1年以上であった。さらにつけ加えると患者は1年間の追試に何ら問題のない肉体的な精神的な持ち主であった。被検者は上顎の無歯顎状態で長さ10mmのインプラントを少なくとも6本埋入できる骨量を有していた。上顎骨間は普通の状態であった。以前に癌の治療のために頭首にレントゲンを照射しているもの、慢性の骨疾患を有するもの、骨再生法を行っているもの、当該部が抜歯されているものは除外した。この研究は患者の了解のもとに行われそれぞれの研究所の倫理委員会の認可を得た。
治療概念
この治療はテースインアンアワーの概念(Nobel Biocare AB, Göteborg Sweden)で行われた。断層撮影からフラップレスサージェリー用の特注テンプレートと事前作製の上部構造の補綴物を製作して行うシステムである。その治療法は詳しく以下に記載する。
模写の獲得
医科、歯科的に臨床検査後患者の断層撮影が行われた。この断層撮影のために最初に行われた処置は咬合採得である(図1)。患者は撮影中テンプレートの位置が狂わないようにこの咬合フォームを噛み締めてもらった。このテンプレートは正しく粘膜に位置におかれ最終固定補綴物の製作に必要となる。もしそうでなければ人工歯が配列されたレプリカを製作する。

図1. 断層撮影をする前に咬合採得をし、患者の義歯かそのレプリカを準備する。そしてX線不透過のガッターパーチャで径1mmのマーカーを付与する。 咬合フォームを咬むことによってレプリカは正しい位置に安定する。
また義歯かレプリカは断層撮影前に製作しておく。少なくとも5個の1mm径のボールガッタパーチャをレプリカの表面の適当な位置に埋め込んでおく(図1)。
2枚の断層撮影が行われるが1枚は補綴物と咬合フォームをいれて咬合平面と平行な軸断層ともう1枚は同じセッテングで補綴物のみを撮影した。ガッターパーチャマーキングを用いて投影された軸断層を融合させた。この2枚の断層撮影法は的確な補綴物を製作のために必要で補綴物の断層撮影と患者の断層撮影を簡単に融合することができる。断層撮影のデータから骨と補綴物の表面が再現され3次元解析要素からステートオブザアートレンダリングテクニック(Oralim®, Medicim, Sint-Niklaas, Beigium)を使って治療計画をたてた。
3次元解析要素による治療計画
治療計画は臨床医がたてるが、患者の断層撮影データから立体像を作製したのが図2の左である。図2の右はクロスセクションの断層像を示す。立体像の曲線は上顎骨のクロスセクションの断層像のガイドとなる(図2の左)。

図2.左の写真は一般的な上顎のインプラント計画の3次元立体像である。この像の緑曲線は歯槽頂を現す。この線は右のクロスセクションに見られる断層像をガイドする。術者は断層像の位置を相互的に調整することができる。この断層像からインプラントの位置決めを簡単に得ることが可能である。

図3.3次元立体像の拡大、回転、転送等の機能を用いて詳細な観察ができる。
拡大、回転、変換されているスツールの詳細が示されているのが図3である。立体像は治療計画によって操作可能である。クリックすることによって補綴物が立体像に出現したり消失したりする(図4)。このソフトは完全な3次元解析要素を有し、術者は一つの画像に骨と補綴物が一体化したものを3面の方向から観察できる(図5)。インプラント埋入は骨面のポジションと骨内先端を直感的に把握しながらドリルの使用が行われる。インプラントの裂開のあるときはその長さ、太さ、位置、方向を変える。インプラントとインプラントの周りの安全地帯は最小でも1.5mm にプログラムした。テンプレートを固定するためインプラント間に水平安定ピンを埋入した(図6)。一度外科医と補綴医が治療計画を承認したら立体解析模型から補綴物を作製するためそのデジタルデータがProcera製作所に送られる。

図4.この像はインプラント治療計画に大切なもので水平断層像、矢状断層像、骨面、補綴物の表面がコンピューター操作で可能である。(A)においてすべての対象物が見られる。補綴物を隠すと詳細が現れる(B)。同様に上顎骨も観察することができる(C)。また長軸断層を表現、非表現したりする。この方法において計画途中で必要なデータが手に入れることができる。

図5.(A)はすべての対象物を含む3次元立体像で(B)はインプラントポションを示すクロスセクション像である。(B)の断層像のインプラント位置のコントロールは3次元立体像ですぐに操作できる。他の次元のビユーではできない。

図6.サージガイドテンプレートの固定装置

図7.フラップレスインプラントのために上顎の粘膜に固定装置でサージカルテンプレートが固定されている。

図7.A~Cは3種類の異なる径のドリルガイドの拡大である。それぞれのドリルに対応している。このドリルガイドを斬間金属スリーブに挿入すことによって的確にドリルをガイドする。
ハードウェアー
サージステントは補綴物の立体石版模型を基にして作られる。そのステントは医療用の合成樹脂で作られていてその中にガイドスリーブが埋め込まれている。そのスリーブの径に適合する種々のステンレス製のガイドチューブが用意されている。この斬間スリーブは予定のインプラントの位置と方向角度に一致している。さらにドリルガイドの口径は使用するドリルの径に精確に適合する(図7)。またその他に径の細い3ヶのスリーブを有し、軟組織を介して骨までドリルしてピンでテンプレートを固定する。術中はそのままにしておく。
外科と補綴処置
184本のブローネマルクTiunite Ⅲ(Nobel Biocare AB)のインプラントを用いて一人の患者に6から8本を埋入した。上顎の軟組織にテンプレートを固定しスリ—ブを介して行った。すなわちフラップレスサージェリー(図7と 図8)をした。テンプレートは濃縮アルコールヘキシジンで消毒した。テンプレートを3個の水平固定ピンで上顎骨にしっかりと止めた後、最初のドリルはスリーブを介して歯肉の除去に使用される。そして通法に従いパイロットドリル2mm、3mm、3.3mmの順に使用する。インプラントの径に従ってドリルガイドを交換する。(図8)。一度すべてのインプラントが埋入されたらテンプレートを外し、規格された繊維補強レジンブリッジを装着する。そのブリッジにはインプラントのトップと固定されるべきアバットメントが埋入されている(図10)。このアバットメントはインプラントのプラットフォームに適合させブリッジの内のシリンダーとしっかりと固定される。使用したインプラントのサイズは表1に示す通りである。骨量、骨質はLekholm とZarbの分類に従った(図2)。12
治療結果の評価
当該患者を術後1週、2週、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月に観察した。その内容のチェック事項は補綴物の安定性、インプラント周囲粘膜の状態、習慣性のブラキシズム、他の不都合な点等である。1年後には補綴物を除去し個々のインプラントの安定を看た。3ヶ月目においてはアンケート式で発音、咀嚼、審美、痛みを採点した。0から10に分けて、0が不良、10は最良とした。術者は咬合の機能、審美を最良、良好、不良に分類した。1週から2週の間に補綴物を装着した症例に対して平行法でデンタルX-rayを撮った。インプラント辺縁骨の近心と遠心の高さは専門のX線検査技師によってデジタルイメージとアナログイメージでスキャンされた。インプラントとアバットメントの接合部は骨吸収の所見と関係があるかどうか検討した。
結果
すべての患者はインプラント埋入後すぐに最終補綴物を入れた。その行程は約1時間以内で終わった。(図11と図12)

図9.インプラントはサージカルプレートの適切なドリルガイドを介して埋入される。口蓋部に固定ピン装置がサージガイドプレートを貫通しているのが見られる。

図10.Aはすべてのインプラントに接合する補綴物を示す。Bはインプラントに装着前の延長アバットメントが入っている補綴物を示す。アバットメントはインプラントに挿入されしっかりとスクリューで止められる。アバットメントの径は少し拡大調整されて装着される。
27人の患者に24時間費やし、164本のインプラントは1年間に亘って観察された。失敗は1本もなく補綴物の機能も安定していた。一人の患者は9ヶ月後に床義歯の変更を希望したため固定性のブリッジは除去され、この研究から除外された。しかしながら1年間のフォローアップではインプラントは安定していた。2人の患者は6ヶ月しか観察できなかったが1年後に補綴物を外してインプラントをチェックしたところ異常は認められなかった。フォローアップ中6人の患者にブラキシズムが認められた。4人の患者には歯肉の炎症の兆候があった。それは歯肉の肥厚に対する反応と思われた。他の不快症状として術後数日から1ヶ月間中等度の疼痛があった(4人の患者のみで他の患者にはなかった)。また辺縁の歯肉に瘻孔を形成していた(1人の患者で3週後には治癒した)。人工歯の破折が2人の患者に認められた。そしてスクリューの緩みが1人の患者に起きた。さらにインプラントとアバットメントの接合部に軽い不一致と中心からのズレがあった。咀嚼機能と審美の所見には術者と患者の見解を取り入れた(表3と図13)。

図11.手術の完了後、約30分で最終補綴物が装着される。審美的外観は技工士のセンスに影響される。

図12.反対顎にも同じ様に治療されている患者のレントゲン像である。
             
埋入の基準として1顎に最低でも6本で長さが10mmのインプラントを使用した。
27人の患者に24時間費やし、164本のインプラントは1年間に亘って観察された。失敗は1本もなく補綴物の機能も安定していた。一人の患者は9ヶ月後に床義歯の変更を希望したため固定性のブリッジは除去され、この研究から除外された。しかしながら1年間のフォローアップではインプラントは安定していた。2人の患者は6ヶ月しか観察できなかったが1年後に補綴物を外してインプラントをチェックしたところ異常は認められなかった。フォローアップ中6人の患者にブラキシズムが認められた。4人の患者には歯肉の炎症の兆候があった。それは歯肉の肥厚に対する反応と思われた。他の不快症状として手術後数日から1ヶ月間中等度の疼痛があった(4人の患者のみで他の患者にはなかった)。また辺縁の歯肉に瘻孔を形成していた(1人の患者で3週後には治癒した)。人工歯の破折が2人の患者に認められた。そしてスクリューの緩みが1人の患者に起きた。さらにインプラントとアバットメントの接合部に軽い不一致と中心からのズレがあった。咀嚼機能と審美の所見には術者と患者の見解を取り入れた(表3と図13)。

正中のズレがあったのでブリッジを作り直した。

インプラントの辺縁骨の吸収は1年間で近心側1.2mm(標準偏差1.1)、遠心側で1.1mm(標準偏差1.1)であった。
考察
この治療の概念を容易に受け入れられる3ヶ所のセンターにおいて27人の通院中の患者から必要なデータを収集した。実際に沢山の経験を持つ術者でもこの予知性のある研究のスタートに先立ち、1人のパイロット患者の経験しかなかった。即時荷重5~9に関する研究は多数見られるが上顎における報告は少ない13~17。さらに上顎のフルアーチに対する即時荷重に関する包括的なプロトコルもクリアされていない。この治療の概念は非常に注意深く段階を踏んだものである。上顎全欠損にフラップレスでアプローチして即時に荷重を架けるこの研究の短期間における100%の成功率はおおいに自信を持たすものである。術後の疼痛は少なく4人の患者が訴えたのみであった。このブラインド外科治療はインプラント埋入を一つの新しい成功に導く方法であると報告している15。そしてその有益性は証明された。無菌的な外科の条件は必須であり予知性の研究においては厳密に行われる。インプラント埋入中の細菌感染は有害な結果をもたらす18。手術時間は短く30分もかからないときもある。咬合調整が必要とされるが補綴物の装着時間は短い。この3ヶ所の総合センターは適切なるテンプレートの位置を確実にすることと手術部に対する高い転写の精確性は直接骨3にテンプレートをのせたと同じ様にすることを強調している。最近、事実に基づかない疑いの反論意見が起きた19。実際にすべての補綴物はインプラント埋入後に即座に装着された。インプラントの軸に符合する様に補綴物のスリーブが入る(図10を参照)。予定されたインプラントの長さと径に対して若干のズレがあった。その理由は3つありそれは術者によるもので1つは術者がインプラント埋入時に長いインプラントの方が安定すると思った時に変更したことである。他の症例において鼻腔や上顎洞の穿孔の恐れのある時当初の長さより短いものを選択したことである。3つ目の理由としてインプラントが予定よりも深く埋入され歯肉の位置が移動していることである。アバットメントをマスキングすることはできた。2次元解析要素の代わりに3次元解析要素を使用するとこの転写システムを使用しなくても予想したインプラントの位置と実際のインプラントの位置はより良い適合が得られる20。約半分の患者は3ヶ月間発音がおかしいと訴えた。それは固定性のものでも脱着性のものでもインプラントにサポートされた補綴物の影響であることは良く知られている。Jacobsと共同研究者はインプラントに固定性の補綴物を装着して間もなく発音障害が起きるがそれは歯間空隙の所為ではないと言っている21。ブラキシズムも観察されたがこれは即時荷重インプラント治療のひとつのリスクになる22。この研究では1ヶ月後から観察していたが1年間を通して何ら問題はなかった。主観的に患者は最高の顎機能とその感覚を有していたが5人の患者はVASが5より少なかった。ブラキシズムに関してはこの先もっと研究されなければならない。歯肉の炎症の原因はプラークの沈着と関係していた。数人の患者は口腔衛生の管理が難しかった。それは長期において無歯顎の状態であったためと考えられる。補綴物の形態は確かにプラークコントロールが難しい。辺縁骨の骨変化は即時荷荷に関するGlauserとその共同研究者の研究に似ている9。フラップレスインプラント治療はフラップインプラントより辺縁骨の吸収が少ないといえる。しかしながらさらにフラップレスサージェリーの骨吸収に関する研究が行われるであろう。
結論
この予知性総合センターは3次元インプラント治療用ソフトを用いて立体像からサージガイドテンプレートと補綴物を製作し、フラップレスインプラント法でインプラントを埋入して即時に補綴物を装着する方法は信頼すべき治療法あると提示します。さらにこの方法で待時インプラントと部分欠損にも応用できることが証明された。
謝辞
この治療がすべてのセンターのチームによって行われたことを強調したい。次の先生方に対して心を込めて感謝します。ベルギーK.U.Leuven の歯周科のDr.Liene Molly, 補綴科のProf.Ignace Naert, Dr.Jasmin Vanderhoydonck, NLL歯科専門センター補綴科のDr.Tomas Josefsson, サンダビー州立病院放射線科のDr.Lennart Flygare, チューリッヒ大学補綴科と理工学科のCDT Ana Suter
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