外傷の少ないフラップレスインプラントサージェリー: 予知性総合研究リサーチ
要約
背景:フラップレスのインプラント埋入は骨頂の喪失、歯肉炎症、インプラント周囲のポケットを少なくし、手術時間の短縮が図られる。
目的:予見性総合研究チームの目的は2年間に亘って外傷の少ない1回法フラップレステクニックを用いたインプラント埋入の所見を得ることである。
実験材料と方法:披検者は24才から86才の患者の57人で、79本のインプラントが3カ所の研究所(Tucson, AZ, USA ; Tel Aviv, Israel; Göteborg, Sweden)から供出され実験に供された。小さなシャープなドリル(Nobel Biocare, Yorba, Linda, CA, USA)を用いて歯肉から直接骨に対して少ない外傷で的確にガイドホールを形成した。インプラントは通法に従い最小のカンターシンクで埋入した。パラメーターとして手術時間、インプラントの成功率、骨質と骨量、インプラント埋入位置、歯肉厚径、インプラントの長さ、ポケットの深さ、炎症、骨頂の変化等を採用した。2年間に57人の患者に79本のインプラントを埋入した。フラップレスインプラントの成功率は98.7%で1本が失敗した。77本の症例に対して骨の変化を検索した。(ラジオグラフ1:平均0.7mm、標準0.5mm、範囲2.8mm、最小0.2mm、最大3.0mm;ラジオグラフ2:平均0.8mm、標準0.5mm、範囲3.4mm、最小0.12mm、最大3.5mm)
78本の統計処理からみて、平均的なポケットの深さの変化と炎症は臨床的には無意味であった。手術時間は平均28分で、最小10分、最大で60分、標準が13.1分であった。 歯肉厚径の平均は3.3mm、標準で0.7mm、最少で2mm、
最大で5mm、範囲は3mmであった。そして上顎が32本,下顎が47本であった。
結論:この治療診断の基準に従って研究の結果をいえば、外傷性の少ないこのフラップレスインプラントは予知性のある療法である。
長所として時間の短縮、少ない骨レベルの骨変化、ポケットの深さ、炎症が挙げられる。さらに出血がほとんどなく術後の不快感の消失である。
キーワード:骨質、骨量、ブローネマルクインプラント、フラップレス、最小の外傷、1回法、高精度ガイドドリル
最小のアクセスで外科治療を行うことは医学界では革命的なものである。1婦人科、整形外科、腹部外科における腹腔鏡下手術は手術の改良されたもので入院期間少なくなる。前立腺手術のために腹腔鏡下手術とロボット工学を応用すると従来の開腹する手術より少ない出血、少ない輸血量、少ない術後疼痛、少ない入院に日数が可能であった。 Humphreysとその共同研究者は少ない外傷の治療のために従来の治療を改良すべく新しい外科治療に挑戦した。伝統的なインプラント埋入にはフラップアプローチを行っている。そのプロトコルはフラップを形成して4から6ヶ月の間粘膜下に埋入して置くことである。粘膜被覆の埋入インプラントの目的は細菌感染の予防と最小の動揺を押さえることである。20年以上に亘ってフラップのデザインが改良されてきた。インプラントは1回法か2回法である。フラップレスで最小のアクセスでインプラントを埋入した報告がある。以前の研究結果において1年目の成績は74.1%で10年目では100%であった。他の研究者は決めたインプラント埋入位置にドリルをするために歯肉パンチを用いた。以前の研究結果を分析すると3年目でその成績は91%になり辺縁の骨吸収が1年間で平均1.0mmであった。そして2年目になると0.4mm、3年目には0.1mmであった。最近ではコンピューターを用いてドリルガイドを製作して斬間補綴物や最終補綴物が装着されている。インプラント埋入時に最小の外傷で行う種々の治療法の症例報告がある。この治療を行うことによって数々の長所がある。術後の出血が少なく、骨の損失も少なく、手術時間の短縮、回復が早いことがあげられる。この総合研究チームの目的はフラップレスインプラントの所見を報告することである。歯肉縁から骨までの距離の測定、生存率のチェック、辺縁骨の骨吸収の変化、ポケットの深さの変化、出血の有無をパラメーターとした。手術時間も計測した。
実験材料と方法
患者は24才から86才の57人で3カ所の臨床センター(Tucson, AZ, USA; Göteborg, Sweden; Tel Aviv, Israel)からそのデータを収集した。32人が女性(24才から86才)、24人が男性( 27才から81才 )であった。
適応者の基準
1. コントロールされている糖尿患者または若干コントロールされている患者
2. 骨幅が最小でも4mm あるもの
3. 骨頂から下顎管まで水平の距離のあるもの
4. 1年間の検診に協力できるもの
5. 外科手術に同意したもの
非適応者の基準
1. 過去に心臓疾患の既往歴をもつもの
2. 頭、首に放射線を照射されているもの
3. サイナスリフト、骨造成が必要な外科サイトを有するもの
この研究の目的を患者に説明して同意を得た。すべての治療はヘルシンキ協定に従って行われた。20 術前にパントモグラフィーとデンタルX-ray撮影を行った。骨幅と上顎洞底に対する距離の測定や下顎管の位置を確認するため断層撮影も行った。断層撮影をしない時はリッジマッピングして骨幅の計測を行った。手術1時前に2gのアモキシリンを投与し、アレルギーのある患者には600mgのクリンダマイシンを投与した。患者は適切な麻酔薬で麻酔され、場合によっては有意識下のセデーションを行った。手術の始めから終わりまでの時間を計測した。サージガイドの使用は医師の裁量にまかせた。図1のAからJまで、ある患者のフラップレス治療の実地を示しています。典型的な高精度のドリル(Nobel Biocare, Yorba Linda, CA, USA)を歯肉から貫通してパイロットホールの形成に用いた。(図.1C)
図.1Aは左下顎の断層写真で矢印は下顎管を示している。骨幅は5mm以上である。Bは予定されたインプラントサイトのX-rayである。Cは高精度ガイドドリルでマーキングが10mm、13mmが付与されている。 Dは高精度ガイドドリルで歯肉から骨まで穿孔されています。歯肉の穿孔幅は約1mmである(矢印)。Eは径5mmのTiUnite Wideのためのインプラントホールの拡大を示している。Fはインプラントの埋入です。ほとんど出血がありません。Gはヒーリングアバットメントがインプラントに装着されています。Hは術後3ヶ月の状態で、健康な組織を示している。Iは装着されたProcera(Nobel Biocare, Sweden) の冠です。14ヶ月後の写真である。
このドリルには深さを示すマーキングが付与されている。10mmと13mmである。歯肉辺縁から骨面へまでの歯肉厚径を測定する。そして適切な深さまで形成しインプラントホールの長さを決定する。断層撮影からインプラントの長さを仮に10mmと計画したら歯肉厚径が3mmなので歯肉辺縁から13mmのマ—キングで止めれば骨内のインプラントの深さ10mmとなる。その結果インプラントのヘッドは歯肉縁下3mmに位置する。製造者(Nobel Biocare, Goteborg, Sweden)使用書に従い標準的なドリリングを行いカンターシンクは最小にした。TiUnite(Nobel Biocare, Sweden USA, Tel Aviv, Israel)インプラントを注水無しで埋入した。すべてのインプラントの埋入トルクは最小でも30Ncmであった。一回法のアプローチに従い即時にヒーリングアバットメントを装着した。そのサイトの骨質、骨量とインプラントポジションをコンピューターのデータに記録した。埋入後すぐにX-rayと口腔内写真を撮った。患者は4週に一回ずつ検診を行った。4週目にはポケットの診査と歯肉炎のチェックをした。ポケットの診査にはWilliamsのMichigan Oプローブ(Hu-Friedy Manufacturing Company, Chicago, IL, USA)を使用した。ポケットの測定部位はヒーリングアバットメントの周囲の4面(遠心、頰側、近心、舌側)とした。出血の検査では測定後1分の経過を経て4面の数をチェックした。これらの測定はインプラント埋入後月に1回行った。この測定は一般的で患者にとっては意味のあることである。 X-ray撮影の追試の平均期間は10.5ヶ月(平均が2.5ヶ月、最短が6ヶ月、最長が16ヶ月)であった。1本のインプラントが埋入とアバットメント装着の期間に喪失した。ふたりの患者にX-rayの追試ができなかった。X-rayは300dpiでコンピューターにTiffの拡張子で保存され、NIH Image(Scion Corporation, Bethesda, MD,USA)のアプリケーションを使用して11.58pixels/の条件下で測定した。一人の患者に1本以上のインプラントが埋入されている時はその平均を採った。インプラントの成功の基準は骨透明像の消失、痛み、麻痺の消失等を参考にした。
データの所見
インプラントの成功を決定するためにKaplan-Meierの成功表を使用し一人の患者に1本以上埋入されている時はその平均値をとり一人の患者として取り扱った。ポケットの深さの変化、歯肉の炎症、骨の喪失、トータルの手術時間、部位別インプラントの総数等を統計的に処理した。手術時間はグループ別(10〜20分、21〜30分、31〜40分、41〜60分)に分類して比較した。そして歯肉から骨面までの平均距離を測定した。
結果
この最小外傷性フラップレスサージェリーが施療された57人の患者の79本は2年間で生存率98.7%であった(表1)。
67本のインプラントには骨喪失は認められなかったが12本のインプラントには僅かな骨喪失が認められた。骨質Ⅱ型に対して70本のインプラント、骨質Ⅲ型に対して7本、骨質Ⅳ型に対しては1本を埋入した。表3は使用したインプラントのサイズと本数、そして喪失インプラントを表している。79本のインプラントの内22本が5mm TiUnite Wide(Nobel Biocare, USA)のインプラントであった。
図3は時間別による患者数である。スタートからインプラントサージェリーが完全に終了する時間は平均で28分であった。(標準偏差は13.08分、最短で10分最長で60分、範囲は50分)
考察
最小外傷性フラップレスインップラントの長所は従来のフラップで対応する手術より沢山ある。これらの長所として僅かな出血、手術時間の短縮、僅かな患者の不快感そして治療費の安価が挙げられる。我々の見解としてこれは最初の総合研究で最小外傷性フラップレスインプラントは予知性のある臨床治療であると認識している。2年で1本の失敗があったが98.7%の成功率であった。この高い成功率の起因として注意深い診断と治療計画、単純な外科のプロトコルの踏襲が挙げられる。最初の骨きりは高精度ガイドドリルの使用ではじまった。このドリルは歯周治療用のプローブのサイズに近似していて歯肉と骨を貫通するために用いた。そして最終ドリルのガイドに役立った。一度角度方向をきめたら通法に従いホールを形成した。骨の喪失はX-rayから計測した(平均は0.05mmより以下)。臨床的に問題にならない僅かな骨の喪失は多数の原因からなるが、測定時の誤差や僅かなカウターシンクの付与そしてフラップレスの応用が挙げられる。犬の実験で歯周治療の骨膜性の治療のためにフラップ翻転の結果2~4mmの骨が喪失したと報告している。この骨喪失はフラップ翻転整骨中の骨露出と外傷によるものであろう。フラップサージェリーは骨頂の骨喪失を最小にして防止する特徴を持っている。CampeloとCamaraは予知性のあるフラップレスインプラントの10年間の臨床成績を報告している。1999年の実験の成績率は74.1%で2000年の成績率は100%であった。最初のインプラントの失敗は学習評価と患者選択に起因していると思われる。骨喪失の所見は述べられていない。骨の診断に術前にボーンマッピングを行い骨の形態を把握していた。可能な限り外傷を少なくするために骨面に到達する歯肉パンチを使用していた。12から24ヶ月間の成功率は90.7%であった。 興味を引いたのはすべてのインプラントの骨喪失は単独植立の荷重8週目に起った。成功率が低いのは上顎骨の即時荷重に関係していた。最初の1年間では骨喪失は平均1mmであったが2年目になると0.1mmに減少した。我々の研究成績との僅かな違いは測定条件、カウンターシンクの量、即時荷重の影響である。この研究において上顎32本、下顎に47本のインプラントを埋入したが両顎とも優秀な成績を得た。16本のインプラントが上顎の犬歯間に埋入されフラップレサージェリーは審美的な要因を満たす優れた方法であることが証明された。さらに審美的な部位では付着歯肉を損なわない特徴があり歯肉組織を高揚させインプラント審美に有効である。
結論
この研究に限っていえば、診断治療計画の基準に従った最小外傷性フラップレスインプラントの外科プロトコルの施行は予知性のある成績を得た(累積生存率98.7%)。この治療の長所は手術時間の短縮、僅かな出血、僅かな骨喪失とポケットの深さの変化等である。術後の不快感については検証していないが従来のフラップインプラントの治療と比較して少ないと思われる。
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