骨柄付きインプラントの上顎洞への移植
Transplantation of a Preosseointegrated Implant From the Mental Area to a Maxillary Sinus Graft
Richard J.Lazzara DMD, MscD
上顎洞への骨移植は上顎欠損部に固定性の補綴物を入れることが可能である。標準的治療法としては上顎洞の骨再生手技や骨補填材の骨熟成期間やインプラントの埋入が必要であるが、補綴物をサポートするには骨結合が前提となる。骨付きインプラントの移植は2回法が望ましい。その特徴としてトータル的な治療期間の短縮、より予知性のある結果、骨質と骨形の改善そしてインプラントの周囲の固定が望める。
本文
米国で骨結合インプラントが初めて紹介されたのは1980年代で、それも軽い骨萎縮のある患者の前歯部に限られていた。その後技術的に改良が重ねられ抜歯後インプラント、萎縮骨の骨再生、上顎洞の骨造成が行われるようになった。その結果インプラントの適応症の拡大が図られた。今日ではこれらの工夫が口腔内の全額欠損、局部欠損に対する固定性、脱着式補綴物に用いられる様になった。上顎臼歯部に固定性の補綴物を入れるために上顎洞の骨造成法がますます増えてきたが、上顎洞の限定された骨は従来の標準的なインプラント、ワイド的なインプランの手順を妨げるものである。上顎洞のインプラントは骨造成と同時に行うものと骨補填材が治癒し骨が完熟した後に行うものとがある。同時インプラントは歯槽厚径が3mmから5mm必要で、それで充分な初期固定が得られ、骨補填材の完熟や骨結合伴うより早い方法であることは明らかである。初期固定が得られない骨質の時はステージ法が選択される。この場合はインプラントを埋入するには骨補填材が完熟するのは1年後で、そして骨結合するまで後6ヶ月待たなければならない。上顎洞への骨移植材には何が最良かのデータはなく、現在では臨床家において統一見解がない。しかしながら著者の経験では口腔内からの自家骨の使用は補填材の骨質を改善し上顎洞の骨造成を成功裡に導く。口腔内には種々の骨採取ができるサイトがある。骨が豊富に採取できる所は下顎の前歯の根先部である。骨採取を限定する解剖学的な構造は存在しない。骨採取をしながら他の治療、即ちインプラントの埋入も可能である。この論文は同時に骨移植とインプラント埋入を妨げる不十分な上顎洞骨の症例(ステージ法)に対して、下顎前歯部からの骨付きインプラントを使用して、上顎洞の混合自家骨再生術を行いながらインプラントを埋入したものである。 
移植術
2回法の上顎洞骨造成を行いながら骨付きインプラントの移植をする方法は有用性がある。
ステップ1:上顎洞骨造成と最初のインプラント埋入
上顎洞骨造成法の決めては骨採取する前に骨窓を開けて上顎洞粘膜を完全に挙上することである。小さい孔は修理が可能であるが修理ができない時は骨造成法の失敗である。粘膜が手つかずのときは成功の期待ができる。骨採取するため下顎の唇側前庭のオトガイ孔間に切開を入れる。歯肉を根端側の方に数mm押し拡げ全層弁を確保する。オトガイ孔間の切開は視野を良好にしてアクセスを容易にする。トレフィンバーは6mmから8mmを使用し最大10mmの骨栓を採取する。骨栓は薄いエレベーターでこじ開けて取り、そのホールの中の使用できる海面骨をキュレットで除去する。インプラントの方は水平方向に通常の如くドリルを行い、カウンターシンクをして埋入するがカバースクリューは骨面と一致させる。これはインプラント冠部に充分に骨を付着させることになる。インプラントは10mmの3iのスレッドタイプである。そこで開いた組織と粘膜を縫合する。採取した骨はボーンミールで砕く。骨採取量が不十分の時は吸収性のハイドロオキシアパタイトを混ぜる。それにテトラサイクリンの粉を入れる。混合した骨移植材を粘膜を押し上げて準備された上顎洞に填入し歯肉弁を縫合する。
ステップ2:インプラントの移植
骨移植材は約1年で完熟するので骨付きインプラントを移植サイトに埋入する。切開は骨採取した時と同じであるが、後方には切開線を延ばさない。インプラントを露出しカバースクリューを除去する。そしてインプラントを除去するためガイドスクリューをセットする。種々の長さのスクリュウガイドがトレフィンバーの方向をコントロールしてインプラントを保護し、充分な骨厚径を保持する。トレフィンバーの内径は5.4mmで約1,500rpmで冷却水を使いながら行う。トレフィンバーの削去中に上下に動かすことによって骨栓は洗浄で除去できる。長いレトリバーを付けたままでトレフィンバーを用いて切痕をつけたら短いレトリバーに変えて更に深くドリルを行う。ドリルはインプラントの先端を越えるまで行う。骨栓は抜歯用エレベーターを用いて除去する。これはインプラントの先端の骨を破折させ、骨で包埋されたインプラントを得ることができる。除去した骨栓は生理食塩水につけておく。骨栓除去後の骨欠損部は骨再生のために吸収性のハイドロオキシアパタイトを填入する。前庭の歯肉弁を復帰し、閉鎖する。上顎臼歯部に歯肉弁を形成し、径4mm のインプラントホールを形成するが深さは骨付きインプラントの長さで決定する。骨栓の長さを測定し、被移植部は適切なる長さに的確に形成する。骨栓の径より少し細いスペードドリルを使用し最終的な径と深さを確保する。ガイドピンをショートに付け替え移植する。埋入方法はシリンダー型のインプラントの埋入方法と同じで骨付きインプラントは槌打して行い固定を獲得する。初期固定はシリンダー型と同様のシステムで得られる。インプラント挿入位置はガイドライン通りで、プラットホームは骨面のレベルと同じにする。そしてガイドピンはカバースクリューに変えて歯肉弁で閉鎖する。
2次オペとそのフォローアップ
2次オペ後は骨が治癒する期間を充分にとり、約4ヶ月間待つ。その間はヒーリングアバットメントを装着しておく。その径は7.5mmで歯肉を圧迫し審美的処置に備える。ヒーリングを確認後、アバットメントを装着し、テンポラリー冠をセメンテングする。次に、最終補綴物を装着する。臨床口腔内状態(図15) およびフォローアップのレントゲン写真 (図16) はインプラントサイトで良好な骨の安定性および周囲の再生骨と移植された骨のコアの結合を示す。ドナーサイトはレントゲン写真で明らかなようにドナーサイトの内で骨再生が行われています。(図17a 及び17b)
考察
上顎洞下の限られた骨量にもかかわらず、上顎洞の骨移植治療は今や上顎臼歯の欠損部に固定性の補綴物を装着することを可能にした。骨移植とインプラント埋入が2回法で行われなければならないとき、処置の合計時間は容易に2年程に近づく。なお、インプラントのまわりの骨質については疑問が残っている。何故なら骨の治癒及び骨結合 のプロセスが明白でないからである。上顎洞の骨再生とインプラントを移植するために下顎骨に骨採取とインプラント埋入する技術は移植材が成熟することによって種々の利点がある。最初に、この移植の技術は数ヵ月までに処置の時間を減らすことができる、何故なら移植部に移植されるときはインプラントが既に骨結合しているからである。さらに、この技術には予知性がある。移植部における骨と骨との治癒はより早く、恐らく、移植骨における骨結合は信頼できるものである。最終的に、精神領域の密な骨の骨結合 は下顎の骨が、ロードされた情況の下で、より多くのインプラントの安定性を提供するので多分上顎の海面骨中のインプラントの周囲骨の品質、構成、および保持を高めるようである。フォローアップのレントゲン写真は移植部(図18) で非常によい骨のレベルおよび安定性を明らかにしている。この移植の技術の使用のための前提条件として、およそ直径5.5mm のインプラントの骨コアを埋入するには上顎臼歯部の骨は適している。インプラント自体が3.75mmであるので1.7mmの骨が移送される。また、骨移植と骨付きインプラントの移植は同時に行わないので最終治療まで時間の遅れがあるが、インプラント埋入と骨移植が付随して行われることができない症例に可能である。
結論
固定性補綴物を入れるために上顎洞の骨再生をおこなわれる患者では、精神領域からの骨付きインプラントのグラフトサイトへの移植は普通の2回法より複数の利点を有する。治療時間の短縮や予知性のあることは明らかで、インプラント周囲の再生された骨の品質、構成および固定が得られることは事実である。この骨付きインプラントの移植術の最初の成功をもって、下顎骨ですでに骨結合したインプラント移植のための拡大された使用を提案する。