オステオトームを使用したインプラントサイト:理論と臨床応用
Implant Site Preparation With Osteotomes : Principles And Clinical Application
Andre P.Saadoun 1996
要約
インプラント治療による口腔機能の回復は一般的になり、それは予知性のある治療方法である。伝統的にドリル法は円筒形(歯根型)のインプラントを埋入する時に使用されるが、この療法は骨の削去を伴う。この論文はインプラントサイトを形成する新しい方法を紹介します。オステオトーム法である。それは骨の保存、骨の拡大、骨の圧縮を行う。その適応症、特徴、臨床テクニックを述べます。この論文の目的は新しい理論とオステオトームの臨床応用テクニックを習熟することにある。
本文
インプラントシステムに関係なく予知性のある骨統合が展開している。インプラントの熟練者においては機能回復から審美的な要素を求められている。骨量は標準的なインプラント3.75mmの埋入する時は少なくとも歯槽骨厚径が7mm,骨幅が4mmを必要とする。抜歯をすると歯槽骨が吸収し、そのために細いインプラントを埋入せざるを得なくなる。骨幅が狭くなり、その結果、欠損、烈開を生じ処置が難しくなる。骨に異常があるときは骨を圧縮をしたり、骨移植をしたりして骨再生法を行わなければならない。多数の骨再生法が術前か術中に行うかどうか研究されている。GBRは予知性のある治療法で、骨欠損、烈開、抜歯即時インプラント、抜歯待時インプラントに用いられる。またインプラント埋入前に骨縁部の骨再生にも用いられる。骨は解剖学的にも骨質においても限界があり、その代償として、膜と骨スクリューを用いて自家骨の移植法が応用される。歯槽骨の吸収で骨幅が不充分であるが充分に骨径がある時は新しい骨移植法が採用される。この治療法はスプリットクレスト法といい同時にインプラントを埋入する時に行われる。初期固定は骨折させた先の既存骨に求められる。歯槽骨厚径が8mm以下の患者においては側壁、骨頂のアプローチにかかわらず、上顎洞底挙上術が推奨される。これらの療法は効果的であるが、追加のオペが必要となり、骨再生で6~8ヶ月,インプラントの骨結合に6~8ヶ月必要で治療期間も伸びる。正しいいインプラントのポジショニング、角度、骨組織と軟組織対する適切なる処置はエマージェンシープロファイル、審美、機能、発音に関係する。最終補綴物の歯周の生物学的低合にも影響を与える。骨統合のインプラントの標準的な方法はドリルで骨の削去を強いられる。骨量、骨質が充分な時、すなわちタイプ(Ⅰ)、タイプ(Ⅱ)の時はドリル法で初期固定が得られ易く安定性がある。上顎骨においてはタイプ(Ⅲ)、タイプ(Ⅳ)が多く、皮質骨が薄いか、欠如している。そして吸収肥大化した上顎洞を有し、骨頂が尖ったりしているのが普通である。しばしばインプラントの埋入を阻害する。
歯槽骨の頬側の形態にアンダーカットがあり、角度を付与して埋入しなければならない時があり、その結果角度付きのアバットメントを使用するようになる。この論文は上顎のインプラントを埋入する新しい治療法を紹介します。それはTatumが提唱し、Summersが紹介したオステオトーム法である。その理論、適応と特徴が述べられている。
器械
オステオトームはドリル法で行われるインプラントの埋入と同じ様に対応する新しい方法である。最近のインプラントシステムを完全に補って埋入を的確にする。オステオト−ム法は安全で歯槽骨の拡大やソケットリフトに効果的です。局所麻酔下で行われる。従来のドリル法ではかなりの骨を削去するが、オステオトーム法ではほとんどの既存骨を保存し、骨が狭い時は圧縮により骨を拡大し、骨質が変化する。そしてインプラントサイトを的確に形成し良い初期固定が得られる。手用のオステオトームは上顎のアーチと柔らかい骨に対して限界がある。この療法は外傷性損傷が少なく、簡単で、コストが安くつきそして骨を保存することに特徴がある。現在ではいろいろなタイプのサイズや形のものがある。
臨床処置
オステオトームの基本的な使用方法は図1と2に示す通りです。
1.サージカルステントかコンパステクニックでポジショニングして、デスポーザブルの径1.5mmのパイロットドリルで所定の 深さまで形成するかまたはリンデマン1.4mm径を使用する。
2.径2.0mmのオステオトームをパイロットホールに挿入し、回転しながら押し出す。硬い骨の時はマレットをする。そこで骨を安定させるために約10秒間挿入したままにして置く。そして回転しながら引き抜く。
3.径2.7mmのステオトームを使い同じ様に拡大する。このサイズで3.25mmのスレッドインプラントが埋入可能である。皮質骨の厚さや硬さによっては3.25mmのオステオトームを使ってカウターボアーが必要となる。
4.径3.25mmのオステオトームを使い同じ様に拡大する。このサイズで3.25mmの円筒形のインプラントを埋入し、スレッドタイプの時は3.8mmのインプラントを使用する。状況によりカウンターボアーを行う。
径3.8mmのオステオトームを使い同じ様に拡大する。円筒形のインプラントの時は3.8mm、スレッドインプラントの時は4.5mmか5.0mmを埋入する。皮質骨の状況によって4.5mmか5.0mmのオステオトームでカウンターボアーを行う。
適応症
ドリル法で骨が少なくインプラント埋入が不可能な時が適応となる。
1.単純なオステオトミー:骨が柔らかく海面状で、タイプ(Ⅲ)かタイプ(Ⅳ)に行う。
2.REO:頬口蓋の幅が4mm以下で先端が尖っているものに行う。(図3,4,5)
3.OSFE:歯槽厚径が少なくても5mmから6mmのものに対して行う。
4.BAOSFE:骨再生のためリフト内に他の部分から骨移植をする場合。
5.FSD:歯槽厚径が5mmしかなくインプラント埋入が不可能の時骨再生術を行い時期を待って埋入する方法。
オステオトームの特徴
骨の解剖学的状況と骨質によってドリル法が適応しない時にこの療法を応用し、場合によっては少しのドリルを使用してミックス併用が可能である。その結果、骨の保存、圧縮、拡大ができる。
骨の保存
●この療法は骨内への操作は易しく破壊的でない。そして骨の除去がないためBone GraftingやGBRを必要としない。
●オステオトームは円筒形なので骨の穿孔、骨の烈開、骨の骨折はない。
●骨の熱火傷はない。
●骨質の見極めが簡単にできる。
視覚的にはクリアーで最適な位置と角度の確保ができ安心でる。
骨の拡大
歯と歯の間の狭窄した部分を拡大することは頬側の審美を良好にする。
●拡大と押し出しで簡単に骨を3方向に移動させる。
●より的確な方向を得易く、途中で角度の補正もできる。
●上顎洞の挙上を易しくし、洞底部の骨の改良も可能である。
●場合によっては骨の追加も可能である。
●余計な外科処置を伴わないで、易しい方法で種々なインプラントを埋入できる。
●狭い骨頂でもOKです。
臨床症例
骨の保存と圧縮
この療法は骨質がタイプ㈽,㈿に行われ、ドリルから始まるができるだけドリルを使用しないのが好ましい。オステオトームのみで骨を拡大圧縮が良い。また、レスキューとして細いインプラントの初期固定が得られない時に応用するのも良い。
骨頂拡大術
この療法はドリルでは骨幅が薄く不可能な時に行われる。とてもシンプルで狭い骨幅を拡げて骨を保存する。特に上顎骨の柔らかい海面骨に行われる。骨幅が3mmでも可能である。骨頂に皮質骨があっても問題はない。たいていの場合あったとしても2,3mmである。オステオトームで入らない時はパイロットドリルで海面骨まで穿通させる。一端皮質骨を穿通したらむしろパイロットドリルよりオステオトームの使用が望ましい。もし骨が硬くて入らない時はパイロットドリルを使う。骨がタイプ(Ⅳ)の時は押すだけで入るが、タイプ(Ⅲ)の時はマレットが必要である。挿入角度を絶えず一定にしながら押し出しとマレットを行う。骨壁を圧縮に要する時間はそれぞれのオステオトームで1分である。拡大することによって円筒形のインプラントはピッタリと入り固定が良い。スレッドインプラントの時はより径の大きいのを選択する。頬側や口蓋側が薄く微細な骨折が認められる時は移植材やGBR膜を使う。最後のオステオトームを使って骨折がなく骨頂に硬い皮質骨が存在する時はカウンターボアーを行う。
上顎洞の挙上
歯槽厚径が5mmかそれ以下の時のオステオトーム法はそんなに難しくない。
1.オステオトームによる上顎洞挙上術
この療法の目的は骨を保存して上顎洞底を挙上することである。このテクニックではインスツルメントが直接触れないのでシュナイダー膜穿孔の危険はない。オステオトームで形成したホール内に自家骨を填入し、この骨の粉をオステオトームで槌打して押し上げて洞底骨と洞底膜を挙上する。タイプ㈿の骨ではオステオトームのみで可能であるが、タイプ㈽の骨ではドリルを必要とする。洞底近くの骨塊が洞底骨と洞底膜を挙上する。オステオトームは直接膜に触れないこと、そしてオステオトームの先端は洞底線を越えないことが大切である。オステオトームと膜の間には圧縮された骨塊を維持させる。ドリル法であると短いインプラントしか使えないが、この方法であると10mmから12mmnのインプラントが埋入可能である。歯槽厚径が5mmから6mmであれば10mm のインプラント可能で、8mmから9mmの時は12mmのインプラントが埋入可能である。
2.骨追加オステオトーム挙上術
このテクニックでは種々の骨移植材を使用している。著者の経験で骨面から集められた骨砕片や上顎結節からの採取骨に500から1000ミクロンのDFDBの骨を等分に混和する。さらにHA20%を加える。この理由はX線の造影性を得るためと混和骨の確認のためと最初の1ヶ月目の起きる骨の吸収を確認するための目的で行われる。混和骨は多めに入れるべきで3mmの骨塊より薄くてはならない。そこでこの骨塊をオステオト−ムで槌打してサイナスと膜を押し上げる。オステオトームは直接触れないこと。その結果シュナイダー膜の損傷は限りなく少なくなる。
3.骨再生待時インプラント術(FSD)
REO療法では即時にインプラントを行うが骨に対して優しい処置である。このFSDはオステオトームを使用したStage法で上顎小臼歯、大臼歯の抜歯後で骨が充分になく即時インプラントができない場合に行う。歯槽厚径が5mm以下の時でオステオトームの槌打では骨が置換しない時に径6mmのトレフィンバーで上顎洞底を短めにカットしてオステオトームを使い優しい押し出しとマレットで骨栓を挙上する。抜歯サイトではオステオトームは優しい回転、槌打で行われる。FSD専用のオステオトームは先端がコーンケーブ型かフッラト型をしており押し出しや槌打でその先端に集められる。上顎結節から採取した自家骨40% とDFDBとOsteograf N300を骨移植材として準備する。オステオトームで何回か骨移植材を押し出す。この繰り返しで優しく行うことが骨栓、移植材を押し上げてその結果シュナイダー膜を容易に挙上できる。6〜8ヶ月間の治癒をおいてインプラントを埋入する。
結論
オステオトームテクニックは上顎の柔らかい骨に対して有用性で、予知性のある療法である。テクニッックの理論は三つの原理からなる。骨の保存、拡大、圧縮である。この原理は本文で詳しく記述しある、日常の臨床で局所麻酔下で簡単に行うことができる。外傷性損傷が少なく、手術が簡単で、時間の節約ができかかるコストが安くつく。術後の結果はドリル法より痛みや腫れが少ない。歯槽骨頂を押し広げたり、上顎洞を挙上するに効果的で安全である。このテクニックは種々な臨床的条件を選択すれば有用な方法である。