Site Development in the Posterior Maxilla Using Osteocompression and Apical Alveolar Displacement
Michael Toffler 2001
要約:
上顎骨のインプラントの埋入は歯槽骨の高径が短く、そして骨質が良くないため難しい症例である。その方法としてはOsteotomeを使用して骨の改善をはかりインプラントを埋入するか複数本のインプラントを埋入するかである。臨床的適応症とその限界については関連論文で生物学的根拠から証明されている。著者はOsteotomeを使用した長い経験からシンプル化したStaged ApproachのSinus Elevation の手順を紹介します。Sinus Elevationは萎縮した上顎骨に対しての治療法として最適であるが、現在側方からアプローチするSinus Elevation と比較する組織的、臨床的研究はない。
本文:
上顎のインプラントの成功率は他の部位のものより低い。上顎のインプラントの生存率が低い原因は以下の通りです。
1.骨質が悪く、上顎結節にみられるタイプ4である。
2.臼歯部のため強い咬合がかかりやすい。
3.骨の高径が上顎洞の接近のため短く、その結果短いインプラントしか埋入できない。
4.インプラント径より咬合補綴物が広いため、咬合の支持方向が外れる。
皮質骨の欠落や海面骨の鬆粗な時は初期固定が得られない。密度の高い上顎結節の骨はよりしっかりとした適合性があり、初期固定も良好である。良い初期固定を伴うインプラントの成功は上顎の骨密度が高い症例に多い。萎縮した骨の場合はより長くて広いインプラントを用いると成功する。そして複数本のインプラントの施術と表面性状がラフなインプラントを用いる。Undersizing についてはOsteotome を使用し1〜2mmのアンダーにしてインプラントをセルタップで埋入する。これらの作戦はインプラントと骨を強固に結合させ、補綴物をサポートし、咬合に対して盤石の状態を作る。SummersはOsteotomeを使用したインプラント治療に関する4冊の論文を発表した。その中で回転式Osteotome を柔らかい骨に応用してX線的に、臨床的に解析した。Summersは自分が製作したCone-Cave 型のOsteototme を使い、上顎骨を拡大し、骨の改善を図った後にインプラントを埋入した。
それはStaged Approach ,Simultaneous Approachに拘わらず、Sinus Elevationを行った。SaadounとLeaGallは同じような処置にSteri-Ossの円筒型テーパータイプのOsteotomeを使用した。テーパー型の尖った先端のこのタイプは側方壁を十分に圧縮するが、上顎洞粘膜を穿孔しやすい。上顎骨に使用するときは既存骨を押上げそして骨蜜度を高くする。側方圧はOsteotomeとその接触する骨海面の密度を高くする。Osteotome 法は基本的に骨の改善を図り、上顎臼歯部のようなpoorな骨においても当初の初期固定を獲得し、インプラントを成功に導くものである。上顎臼歯部のインプラント埋入は十分な骨量もなくそして上顎洞の肥大化による上顎洞底から歯槽骨の高径が短いため難易度は高い。抜歯後は歯槽高径は骨再生因子の欠落のため劇的に減少する。水平的な萎縮を生じる。歯周病もまた歯槽骨を吸収させる。大きな上顎洞を有する患者においては適切なるインプラントを埋入する骨がない。一時的にも可徹式補綴物をいれると粘膜を圧迫することによって骨が吸収する。このようなケースにインプラント治療を施すには上顎洞の挙上が必要となる。Sinusに対する骨造成の治療は多数あるが、種々の人工補填材を使用してStaged法、Simultaneous法でインプラントを埋入した研究報告が多数見受けられる。1997年にSmilerは側方からのSinus Elevationを発表した。それは最も一般的な方法で、乳突洞削開とOsteotome法を使ってウィンドウ弁を形成した。この乳突洞削開は粘膜を無傷の状態で残し、ウィンドウを完全に除去するが、膜は無傷のまま残して上顎洞に膜付きの大きなウィンドウを形成する。側壁に対する乳突洞削開は骨を供給する代わりになり、側壁に骨伝導性をもって骨を再生する。この療法は隔壁を持つ上顎洞、狭窄している上顎洞、ウィンドウの開けられない歯のない上顎骨に適応する。Sinusが狭窄しているときは側壁骨の挙上と保持はできないためウィンドウの形成は不可能である。現在では上顎洞が狭窄している症例にたいしてはOsteotome を使用し骨頂からアプローチし、狭い部分から上顎同洞底と膜を挙上している。
Osteotomeを使った歯槽骨の改善
上顎洞を挙上し骨補填材を填入した後にインプラントを埋入する方法を提唱したのは1994年のSummersである。上顎洞底を挙上し骨を填入するのにOsteotome を使用し、骨補填材は挙上された上顎洞底の直下に入れた。この療法は歯槽骨高径が5~6mmの症例に推奨される。テクニックとしては、最初のみ細いドリルを使用し、その後はOsteotomeで拡大していく。圧縮された骨の小柱はドリルとの併用が必要でOsteotomeのマレッテングなので患者はより少ない外傷ですむ。Osteotome はたくさんの種類があり、円筒形もの、テーパー型ものがあり、インプラントを埋入するときは自分のアイデアを生かして使用することが大事である。骨補填材は人工骨と同じ外科サイトから自家骨を採取し、可能ならば恥骨、下顎下行枝から自家骨を採取している。また、骨の採取は上顎結節からとドリル時の削去片を使用している。牛から由来するBio-Ossと自家骨を1:1の比で混和して使用している。最近、上顎洞挙上に使用する骨補填材としてBio-Ossが注目されている。特徴としては骨伝導性を有し、X線に対して不透化性であることである。これらの骨混合物は上顎洞底が挙上されたときにすぐにコンデンスされる。Osteotome での押し出しは骨補填材を上顎洞内で各方向に分散させる(パスカルの原理)。骨の塊りは油圧式で上顎洞粘膜を挙上する。この圧力はOsteotome の径より上顎洞底を広くする。骨補填材の追加で上顎洞底をより挙上することができる。3~5mmの骨栓の骨混和では1mmの挙上を予想する。上顎洞粘膜のOsteotome の接触はさけなければならない。Osteotome の挿入は既存の上顎洞底を超えてはならない。何故なら上顎洞粘膜の穿孔の原因となるからである。上顎洞の挙上が終わったならインプラントを埋入します。初期固定は既存の骨に求める。この骨頂からのアプローチは骨補填材の量が少なくてすむし、弁の形成もなく、損傷も少ない。側方からのアプローチより術後の腫脹や不快感が少ない。サイナスリフト時のオステオトームの利点としてインプラントがより長いものが埋入できるように骨の圧縮により改善することである。それが上顎臼歯部のインンプラントの成功に繋がる。最近マルチセンターの研究によるとBAOSFEの方法で種々のインプラントと骨移植材を使用した結果、174例中、成功例が95.4%であった。負荷時期は平均20.2ヶ月であった。このBAOSFEの治療のリフト量は一貫して3-5mmで、稀に7-8mmも可能であると思われた。Bruschiと彼の共同研究者はLMSFを採用し、499例に一回法治療を施し、97.5%の成功率であった。観察期間は7年であった。この治療法は上顎洞粘膜の挙上と頬側よりの残存歯槽骨の拡大とインプラントの埋入が同時であるが、骨移植材とGBR膜は使用していない。インプラント成功例のX線分析では3-7mmの骨の造成がみられた。BAOSFEの治療では202例中95.7%の成功でその負荷時期は平均18ヶ月であった。インプラントの表面性状はいろいろで形も幾何学的ものが使用され、骨補填材として自家骨またはそれにBio-Ossを混和したものを使用した。最近では著者は酸エッチングかブラスト処理したスレッドタイプのインプラントを使用している。サイナスのリフト量は2-7mmで、膜の穿孔が3%見受けられた。シングルスタンドは上顎臼歯部においても可能で、垂直、水平の咬合力に耐えられる。BAOSFEの治療ではシングルスタンドは上顎臼歯部の既存骨に限定される。Mazorとその共同研究者は10例のシングルスタンドを行ったが、外科処置のアクセスが盲目的なので、4例に膜の穿孔が認められた。そして負荷3年後に吸収性膜で治療を行った。膜の穿孔の原因は上顎洞底の面が不規則な状態のためであると報告した。膜の穿孔の修理はアクセスホール小さく、操作が限定されるためである。BAOSFEの治療は難しいが高い成功例を生む。オステオトームのアプローチは歯槽厚径に限定されるがシングルスタンドを容易にする。中隔のある部位は洞粘膜の剥離は難しいがさらに難しいのは上顎洞底に変化があって、即ち抜歯が数ヶ月前のものだと歯根状になって剥離が難しい。文献によると上顎洞内の中隔の発生率は16%-58%である。中隔は有歯顎の時は咀嚼力に反応しているが歯が喪失すると消えてしまう。オステオトームで粘膜の挙上にするときは中隔部分の所が穿孔しやすいので注意を要する。サイナスリフト治療において種々のインプラントを使用し、成功に導くには一回法と二回法がある。一回法に必要な残存骨の量は決めかねるが、初期固定を得るにはそれなりの骨量が必要である。側方からのアプローチでは歯槽厚径が5mm以下だと一回法を行わない。Sinus Consensus Conferenceは次のように報告している。喫煙はマイナスの要因で、歯槽厚径が5mm以下であると失敗しやすい。このことは既存骨と比較して骨移植材の骨量が劣化していると思われる。LMSFの治療では5-7mmを必要とする。BAOSFEのテクニックでは4mm以下で喫煙する症例では生存率が低くなる。5か5mm以下であると96%で、4か4mm以下であると85.7%低下した。一回法では側壁からのアプローチでも歯槽骨頂からのアプローチでも問題は歯槽残存骨の骨量と骨質に起因する。
Future Site Development
このテクニックは骨厚径がない時の新しいアプローチです。この方法では骨補填材を填入する前にトレフィンバーで骨栓を形成し、それをOsteotomを使用して若木骨折させ、サイナス膜をリフトします。(Fig.5A,5B) 骨栓と骨補填材を使って、膜に直接接触しないように粘膜を挙上します。骨栓は自家骨なので骨補填材に働きかけて周囲の既存骨とともに骨造成を促進させる。また骨栓を形成した後の骨の内壁は骨補填材をより早く成熟させる力を持っている。そしてより早い治癒期間で可能であるとともにドナーを必要としない。このテクニックで難しいのは膜の穿孔した時の処理で、修理時の視野が限定されることである。(Fig.6) 側方からのアプローチの時の修理は視野が獲得できるので易しくできる。もしどうしても修理ができない時は骨補填材が洞内に漏出するため、この処置は中止すべきである。また副洞の若木骨折は何回も槌打しなければならない。骨栓が1mm-2mmしか得られない時は、挙上が難しい。また、上顎洞底は必ずしも平坦でないため骨栓のエッジの削り残しがあることがある。著者はFSDを行う時、骨栓の境界部を明確にして挙上し易くするためと穿孔をさけるために『Toffle core Osteotome 』を考案したOsteotomeの先端部の厚さは0.5mmでトレフィンバーの5.25mm,6.0mmのカーブに合うように設計されている(Fig.9A)。深度ゲージは2mm間隔で刻まれていて、穿孔の防止に役立っています(Fig.9B)。マレットは注意深く行うが、術者はトレフィンバーの使用時は感触がない。骨栓の厚さは最も薄くても1.5mm,2.0mmである。マレットの深度は1.0mm,1.5mmでとどめることが肝心である。骨栓を処置するインストルメントは外科エレベータかチゼルであるが、穿孔の深さを測定することが可能である。この『Toffle core Osteotome 』は膜の接触と穿孔を避けることができる。5mmから6mm径のOsteotomeを使用し、骨栓を静かにマレッットする。著者は1.5mm,2.0mmを形成するときはトレフィンバー時の穿孔より少なくするため、『Toffle core Osteotome 』を使用するが、若木骨折は少ない力で済む(Fig.10A,10B)。他の難しい点は最初にトレフィンバーを使用する時で、骨面を削去する時滑ってなかなか食い込まない。この問題の解決策として充分な注水下において逆回転1.500rpmで行う。これを0.5mm,1.0mmでとめて、次に正回転1.500rpmで目的の深度まで形成する。トレフィンバーの大きさの選択は歯槽残存顎堤の厚径で決まる。著者は歯槽骨頂のGBR膜に非吸収性のe-PTFE膜とその固定にチタンタックを使って良い成績を持っている。再生された骨質は非吸収性膜を使用した方がよりよいものである。同様に側壁からのアプローチの時も同じことがいえる。側壁窓に非吸収性のe-PTFE膜を被覆したときは骨補填材の有無に拘わらず、新生骨が認められた。Tarnowとその研究者は側壁窓にGBR膜を使用した時としない時の骨の新生を研究し、使用した方がインプラントの生存率が7.4%高かったことを報告した。GBR膜を使用しない時は創面は骨補填材の粒子で覆われていたり、軟組織の陥没が見られる。Jensen とGreerは骨補填材として自家骨の脱灰海面骨を使用し、GBR膜としてe-PTFEの被覆で良い成績を残した。側壁からのアプローチでGBR膜を使用する目的は以下の如くである。
1.非骨原性の閉鎖を除く。
2.粒状の骨補填材を包含する。
3.軟組織の破裂の予防。
4.インプラントが成功するための新生骨の造成。
GBRの膜は被覆した部分を骨誘導性細胞とその構成部分を停滞させる。歯槽骨頂からの膜の被覆は著者がFig.11Aから11Fで証明しているように同じ結果をもたらす。BAOSFE,FSDの治療において膜の効果がない時は一般的な骨造成が損なわれる。Pelegとその研究者たちは、24症例の骨造成の上顎洞に57本のインプラントを埋入してそのX線的解析を述べている。28本のインプラントはその全周囲に骨の造成が見られたが、先端をカバーするほどではなかった。20本は先端を完全に覆い尽くしていた。9本は骨の被覆は不完全であった。すべてのインプラントはセラミックで被覆され、3年間の追跡研究では失敗がなかった。被覆が不完全な時でさえもこの傾向を示し、インプラントが成功したと報告している。さらにPelegは骨面の被覆の失敗は上顎挙上術の不慣れなためであるといっている。著者が述べているようにBAOSFEの治療は充分な骨を再生し、3mmから7mmnの挙上で長期間インプラントを安定させる。Horovwitzは改良BAOSFE法で34本のインプラントを埋入した。その結果、97%の成功例にはサイナスの穿孔、骨補填材の欠落はX線学的に発見できなかった。上顎洞への血液の供給、骨細胞の活性は周りの骨壁から行われる。そこの部分は狭くて、閉鎖的なので骨の新生がスムースに行われるように周囲の環境を整えておくことが大事である。シュナイダー膜のリフトは骨補填材を成熟させるための新しい骨形成細胞を産出させる。オステオトームテクニックでは少量の骨を成熟させるため同様な膜のリフトは必要がない。自家骨を混ぜて使用すると骨の新生が早くなる。自家骨の割合が多いほど骨の再生を促進させる。BAOSFE,FSDの治療法は骨補填材の成熟化を早くし、早期のインプラントの安定性に寄与する。しかしながら、FSDと側壁からのアプローチとの比較研究がない。また、FSDの成功率の研究も見あたらないし、ましてや長期の観察実験もない。FSDは実験段階である。側壁からのアプローチの二回法の研究で成功例があるが、それは新しい治療法と認めがたい。オステオトームテクニックの一回法、二回法時のサイナス内の骨補填材の組織学的研究は骨結合の状態と新生骨の状態を知る為に必要である。骨補填材の治癒パターンを解明することは上顎挙上術のさらなる向上を促し、長期間のインプラントの成功を約束するものである。