顎堤増大法:オステオトームテクニック2
The Ridge Expansion Osteotomy Procedure : The Osteotome Technique 2
R.B.Summers 1994
要約
手用の器械を使用して骨切りをして上顎骨骨にインプラントを埋入する方法を1994年にCompendiumで発表した。この新しい治療法をオステオトームテクニックと名付けた。前の論文で、ドリル法ではあまりにも骨薄くてできない症例に使うことに意味があると述べました。一般臨床家がルーチンとして臨床に取り入れられるように、骨幅を拡大する『骨の拡大術』、即ちリッジエクスパンションオステオトミー(REO)を紹介します。この論文はREOについて詳しく述べます。そして臨床例は前歯部、臼歯部で、インプラントの角度、審美的なものを考慮して行われた。
本文
上顎骨の海面骨に埋入する方法をオステオトームテクニックと呼び、1994年の2月にCompendiumで発表し、特殊なオステオトームキットを開発し、顎堤の狭い症例、即ち従来のドリル法ではできない症例にインプラントを埋入した。顎堤を拡げるテクニックをリッジエクスパンションオステオトミー(REO)といいます。狭い顎堤上顎の欠損部は普通のインプラント治療ではできない状態、即ち骨幅が薄いのが多い。そしてその部位はインプラントを複数本埋入できないこともある。術者が狭い顎堤に行う時はその骨形態に沿ってインプラント埋入するためどうしても角度がついてしまうこともある。また薄い顎堤は最終補綴物の形態的なものや審美的な問題を生じさせる。歯槽骨が突起状である患者はインプラント埋入を妨げる。頬口蓋の狭い症例に対する治療法はほかにも沢山ある。固形や粒状の骨移植材
をオンレーグラフトとして使用する方法、新生骨を形成するGTR法がある。1992年にスプリットクレスト法が紹介された。この療法は歯槽骨にチゼルで切痕をいれて、インプラントが入るように骨壁を押し広げて骨折させる。その後に遮蔽膜と移植材を用いる。ソケットフォーマーでノミ状に溝を形成することを最初に発表したのはTatumである。彼はこの目的のために特殊なインプラントを開発した。約20年間この治療法を研究し発表した。この療法はインプラントを成功に導くが、REOより外傷が強くややリスクを背負っている。オンレーグラフトは余計な手術が増え、被移植部を必要とする。他の歯槽骨拡大法は難しいためルーチン化することができない。チゼルやドリルを使って狭い歯槽骨に溝を形成し、広い範囲の骨の骨折した時はいろいろな問題を起こす。
リッジエクスパンションオステオトミー
REOは簡単に狭い顎堤を保存的に拡大することができる。部位的には上顎骨の柔らかい海面骨に適応される。特徴としてすべての骨を保存できることである。オステオトームを使って優しく処置することができ、インプラントの埋入もすぐ可能である。固有の弾性を持つ上顎骨海面骨には最適である。チゼルやノミ状のインストルメントは使用しないで、丸くてテーパー型のものが使われる。骨は徐々に拡大され、的確なインプラントホールが形成される。著者はいかなる顎堤においても骨折をさせない。そして一般的に細めのインプラントを用いるがインプラントは円筒形のものを使用し、骨内の圧縮された部分にタッピングの操作で埋入する。その結果、良い初期固定が得られる。スレッドタイプのインプラントはしっかりした安定が得られない。著者の経験ではこのテクニックおいては使用することを避けている。
REO外科テクニック
骨の形態からみて骨幅が3mm以上であればこの処置は可能である。皮質骨の存在があっても適応します。あったとしても上顎骨の皮質骨は数mmの薄さである。特に固い時には、最初にパイロットドリルを使用して海面骨まで穿通させる。パイロットドリルの径は最初のオステオトームが入るように少なくとも2mm径のものを選択する。オステオトームの使い方は手を使ってまっすぐに押し出すか、またはマレットを使ってインプラントホールを形成する。ここで注意することはオステオトームの押し出す方向がぶれないようにしないと骨折が起こることがある。一度パイロットドリルで皮質骨が穿孔されたら、一番細いオステオトームを使って押し出しかタッピングを行う。オステオトームは骨を保存し、骨結合し易い骨に変化させる。ドリル法では骨は除去され、熱の発生を伴う。目的の深さまでオステオトームが到達しない時は、パイロットドリルを使用する。術者はオステオトームの挿入で骨の固さが分かるし、比較的優しく骨内のプローブができる。手の感覚は次のステップに移って2番目のオステオトームを使用すると感じられる。2番目のオステオトームで頬口蓋的にゆっくりと拡大して行く。骨の全体がタイプ4に時は押し出し方式で行う。タイプ3の時は少しマレットを行う。挿入中の角度に気をつけて押し出しとマレットをすることが大事である。固い骨の部分があって穿通しなければならない時、必要ならドリルを使用しても良い。しかしながら骨削去につながるので、できるだけしないことが肝要である。たいていのタイプ4の骨にはドリルを必要としない。オステオトームで足りる。海面骨の弾力がREOを優しく受け入れてくれる。タイプ3、4の骨はこの方法ではいとも簡単に時間をかけないでできる。一つのオステオトームを使用する時間は約1分かかかります。オステオトームを使用する動作はゆっくりと行う。特に抵抗のある時は、30秒から60秒間オステオトームを挿入したままにすることもある。また抵抗のあるときはいったんオステオトームを引き抜き、生理食塩水で濡らしてまた元に戻します。このようにインストルメントはいつも濡らした状態で使用するのが原則で、その代わりに注水は不要になる。次に3番目のオステオトームを使うが、ここで頬唇壁にへびが入る時があるが、この時の処置としては骨移植材やバリヤー膜を使う。骨面の骨が固い時とか骨折のない時にはカウンターシンクを使用する。
REOの他の特徴
上顎の骨ならどの部位でも可能である。頬側壁のアンダーカットはオステオトームで膨らますことができるがインプラントの方向はアップライトになる。ドリルと何本かのオステオトームを使って約10度から15度になる。REOはオステオトームを単独かあるいはドリルとの混合で行われる。一方前歯部においてはインプラント埋入するためにより多くの骨幅が必要となる。審美的理由から唇側を拡張することもできる。どの部位においてもスタートに従来のドリルを使用後オステオトームを使用するこも可能である。
症例報告
症例1
患者は76歳の女性で、Nos.6,12and13番の欠損の治療で来院する。診断の結果、通常の方法では骨が不十分なので、REOを採用した。パノラマの結果、歯槽厚径が13mmから20mmであったが、骨面を開くと骨幅が4mmしかなく先端は尖っていてさらにアンダーカットも存在した。一番細いオステオトームで骨を診査したらタイプ4と判明した。オステオトームを段階的に使用し、インプラントホールを頬舌的に拡大して3.3mmTPSシリダー型インプラントをタッピングで埋入した。6ヶ月後に2次オペを行い骨の再生と骨結合を確認した。同様に反対側も同じ様な骨形態をしていた。Nos.11と12番にドリルを使用しないでインプラントを埋入し、リエントリーで骨結合を確認した。1993年には上顎に固定性のブリッジが装着された。
症例2
患者は45歳の女性で、左上の前歯の欠損で来院した。臨床的検査の結果、唇側に骨の凹みがあることが判明した。そしてX線結果、インプラント埋入するには骨は不十分で、骨面を開くと唇舌的な幅は3mm以下であった。オステオトームで1,2,3番まで使い、深さ13mmまで形成した。オステオトームは唇側の凹みを膨らませ、結果的に2mmの拡大が得られ3.3mmのインプラントを埋入することができた。
考察
著者はこの最近の3年間REOの理論に乗っ取って28本のインプラントを埋入した。この治療のたいていのものは骨の拡張した後にインプラントを埋入した。また、症例によってはアップライトにインプラントを埋入した。
REOはオステオトーム単独かドリルとのミックスで行うことができることを著者は強調したい。術前の所見にも拘わらず術者は外科処置中に臨機応変に立ち向かわなければならない。REOはすべての症例で安全に行われ、術後の不快症状は即ち痛み、腫脹はドリルに比較して少なかった。すべての症例に複雑性は皆無で、完璧であり、術後の失敗はなかった。
結論
REOはより少ない侵襲で狭い顎堤の部位に他の方法よりリスクなしにインプラントを埋入することができた。術者はREOを行うことによっていかなる部位においても即座にインプラント埋入が可能であると信じている。狭い顎堤にはREOが一般化していくであろう。しかしながら上顎の狭い顎堤のすべてに適応できないが、多くの患者さんを救うでしょう。