予知性のある発展:オステオトームテクニック4
Furute Site Development :The Osteotome Technique Part 4
R.B.Summers 1994
要約
以前の論文はコペンデジューム(1994年の2月、1994年の4月そして1994年の6月)でオステオトームを使用して上顎にインプラントを埋入する方法を発表した。オステオトーム療法は柔らかい上顎骨を圧縮したり、幅径が無い時は押し広げたり(REO)、上顎洞を挙上したり(OSFE)、さらに骨を填入して(BAOSFE)インプラントを埋入します。今回の論文は歯槽骨厚径がなくインプラントの初期固定が得られない時にオステオトームで上顎洞内に骨を再生した後に行う方法である。さらに、付け加えると大きめのオステオトームを使って薄い上顎洞底部を上方に押し上げることである。これをFutureSite Development(FSD)療法といっている。従来の上顎洞挙上療法と比較します。歯周外科と伴うFSD、他の骨再生と伴うFSD、抜歯と伴うFSD等である。FSD療法はステージ法でインプラントを埋入するには良い方法あると思う。
本文
以前の論文では オステオトーム療法の特徴について述べました。オステオトームのキットには、先端が凹面でテーパー型をしたREO,OSFE,BAOSFE用のいろいろのサイズがあります。以前の論文で上顎洞挙上には最小でも6mmの厚径が無くては同時にインプラント埋入が不可能であると述べた。6mm以下の時はリスクがあり、不可能である。その時はステージ法、デレード法を行い、上顎洞に骨補填材を填入した後にインプラントを固定する環境を整える。1970年代にTatumは一般的なデレード上顎洞挙上術を発表した。彼が最初に骨頂からのアプローチを試みたが、数年の間に彼とBoyne他はCaldwell-Luc式の側方からのアプローチを行った。骨頂、側壁からのいずれのアプローチでもシュナイダー膜に対して直接にCuretを使用した。Curetでその膜を骨壁から鈍的に剥離し骨補填材をその空隙に填入した。側壁の骨をくり抜き一部を蝶番としてサイナス膜を処理する時に適宜使用した。骨補填材として腸骨、オトガイ骨、脛骨から採取し使用した。彼の骨頂からのアプローチでは洞底の近くまで骨を除去し、その先端の残存骨を細いオステオトームで叩いて上顎洞内に押し出した。シュナイダー膜は骨補填材の空隙を作ることによって剥離された。このアプローチは側壁からのものより過酷である。そこで側壁からの上顎洞挙上術が標準的なものとなった。
オステオトームを使った骨頂からのFSD
この療法は以前に述べた方法よりいくつかの特徴がある。他家移植しないので失敗率が少なく、側壁からのアプローチより骨の熟成が早く早期にインプラント埋入が可能である。FSDで使用する骨補填材は外科サイトの骨採取、人工骨の追加、骨栓の利用で構成される。そしてシュナイダー膜からの血液が関与し骨再生を促す。骨栓は活性化していて、骨芽細胞とBMPを含んでいる。すでに存在する生活細胞と骨タンパク質は骨補填材の熟成を早める。他の特徴としては歯科器具が直接にシュナイダー膜に触れないことである。
FSD療法
上顎洞底下に骨が充分に無い時はインプラントを埋入できないが、洞底を挙上することによって可能である。この骨を押し上げるためにデザインされた特殊なオステオトームを使用して残存骨組織を挙上します。FSDのために作られたオステオトームは先端が凹面の形をしていて、把持部を押したり、叩いたりして使用します。骨がNo.5のオステオトーム、FSオステオトームを使用しても押上げられない時は、6mm径のトレフィンバーを使って洞底直前までドリルします。そしてオステオトームで優しい押し出しとマレットを行い、骨栓を上顎洞内に移動させます。この方法で行うとシュナイダー膜の穿孔は無い。骨栓が洞内に入ったら骨補填材をオステオトームを使って填入します。オステオトームは骨補填材と直接接触します。軽い押し出しとマレットで圧縮します。この繰り返しで骨栓と骨補填材が洞内に押し出され、容易にシュナイダー膜が剥離されます。オステオトームが直接膜に接しなくてもドーム状のテントが張れます。患者の骨栓、骨補填材と液体基剤が緩衝材となって膜を押し上げます。FSD療法中オステオトームは洞底線を越えてはならない。基本的にはFSD療法は以前に述べたBAOSFE療法と同じである。即ち骨粒子と液体が一体化し、油圧力が発生し充分に洞底を押し上げる。骨栓は骨再生因子を有し、骨補填材を活性化し新生骨の生成を助ける。そして側壁から骨芽細胞、タンパク質が湧出し骨の再生を促進する。FSD療法はCaldwell-Luc療法で行う他の部位からの自家骨移植より早く治癒し、そしてより忠実な骨を再生する。
症例1:FSDとREOの混合療法
1994年7月に58歳の男性がNo.10からNo.16の欠損で来院する。X線の結果、No.10からNo.12は骨が充分にあるのでREO療法の対象とし、No.13からNo.15の洞底から骨は2mmから4mmなのでFSD療法を行うこととした。No.10から No.12にはREO療法で13mmの円筒形のインプラントを埋入した。
その後方にFSD療法を施した。患者の症状は普通で、24時間以内に職場に復帰した。術後7ヶ月後、3本のインプラントの2次オペをしたがいずれも良好な骨結合していた。そしてヒーリングアバットメントを植立した。後方のFSDされた部位には2本の13mmインプラントを埋入したが骨質は良好であった。No.10からNo.12のインプラントにはテンポラリー冠を装着し、追加したFSD部のインプラントの2次オペを待っているところです。
症例2:FSDと他の骨造成法との混合療法
1994年3月に59歳の女性がNo.13の激しい動揺で来院した。歯槽骨厚径が狭いためすぐにインプラントを埋入できない状態であった。抜歯後No.2のオステオトームで上顎洞底を若木骨折をさせ、特にその部位を挙上しなかった。左上の上顎結節より骨を採取し、オステオトームでそれを填入した。FSD療法のために極度に薄い洞底骨なのでNo.3とNo.4のオステオトームを使用した。抜歯窩なので太いオステオトームは適合しなかった。抜歯窩内とFSD部は自家骨で埋められた。そしてバリヤーとしてGBR膜でカバーした。10ヶ月後、No.13部の頬側骨とFSD部は完全に骨が再生されていた。再度、REO療法で13mmのインプラントを埋入し、6ヶ月に2次オペを行い、ヒーリングアバトメントを植立した。
症例3:FSDと歯周外科の併用
58歳の男性で、進行性の歯周病に罹患しNo.3からNo.6までのブリッジに問題があり、さらにNo.4は抜歯の適応と診断された。No.3の予後は良好で、インプラント治療の必要がなく、No.4の抜歯窩はFSD療法に適しており、通法の如く隣在歯の歯周処置を行った後、上顎洞底を挙上することなく骨補填材を使用しインプラント埋入する環境を整えた。
考察
著者は4年間、太いオステオトームを使用してきたがFSD療法には安全で、上顎洞底挙上には最適であると考える。FSD療法は歯周外科、抜歯、隣在歯の即時インプラントとの併用が可能である。さらに他の骨再生法との併用も可能である。洞底直下の骨の乏しく直ぐにインプラントを埋入できない部位に少ない外傷性損傷で行うことができる。そしてこの療法は局所麻酔下に簡単に自分のオフィスで可能である。この論文で記載した方法で行うと上顎洞底を挙上しなくてもインプラントを埋入する環境を作ることができる。FSD療法は以前に述べたソケットリフトより簡単で治癒が早く、被移植者を必要としない。