Clinico-Pathology Study of Bone Augmentation in Oral Implant(T)

July, 2002

石山照雄 D.D.Sc.

Ishiyama Dental Clinic
Asakusa  Imlant Institute

目的:
近年、口腔インプラント治療が盛んにおこなわれており、自家骨や人工骨補填材を用いて積極的に骨造成を図ってインプラントフィクチャーを埋入するケースが増えています。そこで、我々は骨量や骨構造等の早期改善を図るため、抜歯窩に人工骨補填材(Osteogen,HA)とコラーゲン製剤等を埋入後、コラーゲン膜にて抜歯窩を被覆して早期の骨造成をの促進を図っています。今回は、インプラントフィクチャー埋入時の骨構造の組織学的所見について填入症例(研究群)と非填入群(対照例)と比較して報告します。
研究方法:           
                  
 
研究対象者は、男性9名、女性11名、合計20名で埋入フィクチャーは合計20本としました。抜糸後、抜歯窩を完全に掻爬し,Osteogen、HAおよびコラーゲン製剤等を抜歯窩に填入後、コラーゲン膜(仁丹テルモ社製のテルダーミス、メッシュ補強タイプ)を用いて抜歯窩周囲粘膜と縫合し。完全閉鎖しました。1ヶ月〜3ヶ月以降(26日〜166日)に抜歯窩の生理的粘膜の閉鎖と骨造成をレントゲンにて確認後、インプラントフィクチャーを植立し、1ヶ月以降(35日〜290日)に上部構造を作製し定期的に臨床パラメターにて経過観察を行いました。インプラント術式はNon-Submerged Approachで、中空フライスドリルで直接歯肉からドリルを開始し、歯槽頂歯肉縁から抜歯窩に至る3.5mm、長さ10mmの円筒状の骨栓組織を採取し、患者の了解の基に、通法に従い脱灰組織標本(HE染色)を作製し、骨形態計測学的に観察しました。骨補填材使用のグループを研究群、未使用のグループを対照群として、スライドに示したグループ分けをして、術直後より5年以上の長期にわたり観察し比較検討しました。 

計測区分:                 
                   
 
脱灰組織標本(HE染色)を骨形態計測学的に観察するため、今回はスライドの区分に従って、画像解析プログラムNIH Image 1.62を用いて、標本上で粘膜上皮層、粘膜下層、抜歯窩、歯槽骨部の各区分に対する新生骨、軟組織、HA顆粒の占める面積比率を計測しました。
パラメーター:                
                 

評価に用いている臨床的および形態計測パラメターを表して降ります。初診時より、定期的に臨床パラメターを用いて、インプラントの動揺度、歯肉の炎症所見、打診などの臨床症状の評価、パノラマや口内X線写真およびCT-Scanを用いて骨量および骨構造の評価を行います。また標本採取可能な場合には、病理組織標本を作製して、形態計測的パラメーターを用いて定量的に計測し分析しています。

Blockade:
 
           

手術時のスライドです。左側は抜歯直後に抜歯窩へ骨補填材を充填した状態を、右側は創面被覆材縫合直後の状態を示しています。この症例においては、骨補填材として、オステオジェン、ボーンタイトおよびコラーゲン製剤等を混合したものを用い、創面被覆材としてはメッシュ補強タイプのテルダーミスを用いています。我々はこの方法を便宜的に
Blockade Techniqueと呼んでいます。

結果:
                 

骨補填材使用の研究群の組織標本を示しています。いずれも形態計測区分は抜歯窩です。左上は填入後1日から30日の代表例です。抜歯窩を満たす多量のHA顆粒が認められ、僅かに新生骨が認められます。右上は、填入後31日から60日の代表例です。同様に多量のHA顆粒が認められますが、減少傾向を示しております。僅かに島状の新生骨の形成が認められます。これら上2枚の標本では、HA顆粒の周囲には異物巨細胞が存在しており、顆粒を貪食している像が散見されます。左下は、61日から90日の代表例です。抜歯窩にはHA顆粒は消失して認められず、樹枝状、島状の新生骨が抜歯窩を満たしており活発な骨造成が認められます。右下は、91日以上の代表例です。同様にHA顆粒は吸収、消失して認められません。抜歯窩は、島状の太い層板骨により満たされており、新生骨が成熟して歯槽骨様の像を呈していることが認められます。
    
                 

研究群と骨補填材の未使用の対照群と比較した組織標本です。右上は、対照群の31日から60日すなわち1ヶ月後の組織標本です。新生骨の新生は認められず、抜歯窩は繊維性の結合組織で満たされています。左上の研究群と比較して瘢痕組織で満たされており、骨形成は認められません。右下は、61日経過例すなわち2ヶ月以降の対照群の代表例です。抜歯窩は結合性組織繊維で満たされており、歯槽骨様の骨組織が認められます。
    
                 

抜歯窩における各組織が占める面積比率を表したグラフです。上段は、各組織を表したグラフですが、時間の経過と共に軟組織およびHA顆粒が減少し、新生骨は増加の傾向を示しています。下段は、新生骨と歯槽骨の骨組織を表したグラフです。新生骨の」面積比率が30日未満は4.8%で、日時の経過と共に増加して91日以降では33.5%を示しており活発な骨造成を示しております。また歯槽骨も経時的に増加の傾向を示しており、長期間の例では歯槽骨が34.4%、新生骨が6.2%を示しております。歯槽骨に関しては、新生骨が成熟したものであるか、また抜歯時に周囲歯槽骨が断裂して混入したことも推測されますで、今後検討する必要があるものと考えます。

   
                 

骨補填材使用状況による各組織の面積比率を表しています。31日から60日の1ヶ月後では、骨補填材未使用の対照群は新生骨の形成がみられず、軟組織のみですが、これと比較して、骨補填材使用の研究群では、新生骨が24.6%認められます。61日以降の2ヶ月後では、研究群は新生骨が25.5%にみられますが、対照群では、新生骨が0.6%で僅かにみられます。歯槽骨に関しては、再度検討の必要があります。
 
                 

長期経過例におけるHA顆粒の残遺状況による各組織の面積比率を表します。HA顆粒の残遺が少量であるものは、新生骨の形成が33.5%と多量であり、これに比較して残遺が多量であるものにおいては、新生骨の形成は1.5%と少量であることが認められます。これはHA顆粒の吸収と共に抜歯窩におけるOsteogenessisの環境が充実して骨形成が促進されるものと思われます。

まとめ:      
               

人工骨補填材およびコラーゲン製剤等、コラーゲン被覆材の使用は骨造成を促進することがみとめられました。今後症例を重ねて、骨補填材使用の至適条件を検討する予定です


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